電車の中のタンポポに想いをはせる

電車の四人席、進行方向窓際の席に座りひじ掛けに寄りかかろうと思ったら、そこにくたびれたタンポポが一本。おそらく子供が摘み取ったものを置いていったのでしょう。黄色い花びらに水分はほとんどなく、摘み取られ数時間経っているのだろうと想像できました。

私はそんなタンポポを見ながら「こんなところに置くくらいなら摘み取らなければ良かったのに」と思ってしまいました。しかし、思い返せば私も小さい頃タンポポを摘んでは花カンムリを作り、他の野花と一緒に花束を作って母親にあげていました。

「懐かしいなぁ」それをきっかけに、次から次へと子供時代の思い出が溢れてきてとまらなくなってしまい、しばらくの間景色を見ながらも心ここにあらず状態で過去に思いをはせていました。そうしているうちに気付けばもう目的地目の前。

慌てて降りる準備をしながら「どれだけ過去にトリップしていたんだ……」と自分でもびっくりしてしまいました。ずっと忘れていた子供のころの感覚。無邪気さや、純粋な気持ち、すきなことに夢中になるこころ。

社会人になり、毎日あわただしく過ごす中で子供の頃の記憶を奥底に追いやっていたのでしょう。もう少しで枯れてしまう運命かもしれないこのタンポポのおかげで、昔の暖かい記憶に触れ少し元気が出た気がします。私は、カバンと上着を片手に持って窓際に置かれたタンポポに目をやりながら外へ出ました。ほんのちょっとの間ですが童心に戻らせてくれた感謝をこめて。

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